第10回「キャンプブレッド 2019in上高地&松本」レポート

開催10回目を迎えた、パン職人のための交流イベント「キャンプブレッド」。2019年は上高地と松本の2会場にて、3日間にわたって行われました。その模様をお届けしましょう。

第10回「キャンプブレッド 2019in上高地&松本」レポート

アニバーサリーイヤーは全国72名の職人が大集合!

キャンプブレッド」は、「ベッカライ・ブロートハイム」の明石克彦シェフと、「スイート」の渡辺匡太シェフ2名の提案によって実現した、パン職人によるパン職人のためのイベントです。2007年に松本市で初開催され、2019年には第10回目を迎えることに。長野県松本市内にある、「スイート縄手本店」と「THE PARKLODGE上高地」の2会場において、9月17日~19日の3日間で開催されました。

「キャンプブレッド 2019in上高地&松本」レポート

2日目、3日目の会場となったパン屋「スイート 縄手本店」。このイベントのために店舗を臨時休業にして、参加者をおもてなし。

このイベントへ参加することで、パン作りの技術や心構えを職人同士で学び合うこと、他店の職人との関係を深めることができます。今回は、「ベッカライ・ブロートハイム」、「スイート」、「トラン・ブルー」、「デイジイ」、「南阿蘇 素材のみる夢 めるころ」、「政次郎のパン」、「欧風パン グランボワ」、「ヴァンダラスト」、「ブーランジェリー キシモト」、「石窯パン工房 キャパトル」といった名店をはじめとする全国のパン屋から、72名のパン職人が参加しました。

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1日目の会場である、「PARKLODGE上高地」前で記念撮影。

全体を通してのテーマは、より美味しく、より生産性の上がる「オーバーナイト製法」。そこで、著書『新しい製パン基礎知識』の著者である「美味しいパンの研究工房 つむぎ」の竹谷光司さんも講師として参加し、イベント中に2回の講演を行いました。

年々、世界的にリテイルベーカリーやパン職人が減少しているなかで、質を落とさずに生産性を上げることが喫緊の課題になっています。その解決策のひとつとして活用され始めているのが、発酵種と冷蔵を駆使した「オーバーナイト製法」なのです。この製法であれば、熟成時間が長くなることで味が美味しくなる一方、前もって仕込んでおけるので日々の労働環境の改善に大きく貢献することに。今回のイベントでは、バゲット、食パン、レーズンブレッド、カンパーニュなどほとんどのパンをオーバーナイト製法で作り、その工程や味を学び合いました。

キャンプブレッド2019の3日間に密着!

ここからは、キャンプブレッドで行われたプログラムについて、詳しく紹介します。

【1日目】

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日本を代表する観光地・上高地を散策。標高3,000m以上の山々、透明度の高い梓川を眺めながら、日々の疲れをリフレッシュ。

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夕方には、竹谷さんの講演「これからのリテイルベーカリー」が行われました。この後は、10回記念パーティーが開催され、大いに盛り上がりました。

【2日目】

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午前中には上高地からスイート縄手本店へ移動して、オーバーナイト生地の仕込みを開始。

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イベントの実行委員である「政次郎のパン」大島シェフ、「ヴァンダラスト」大村シェフ。

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仕込み後に行われた、竹谷さんによる講演「発酵種とこれからの製パン法」。若手からベテランまで、真剣に耳を傾けていました。

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スイート縄手本店3階のコワーキングスペース「スイートワーク」にて、「キャンプブレッド10thライブパーティー」が開催されました。

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「ベッカライ・ブロートハイム」明石シェフ、「スイート」松井シェフ、「グランボワ」高木シェフによる、一日限りのスペシャルバンド

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スイートのパン職人がモノマネを披露。さらにオリジナルソング「カレーパンの歌」を歌い、大盛り上がり!

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ソウルフルな歌声が魅力のシンガー、湯澤かよこさんによるパフォーマンス。最後は、明石シェフ、高木シェフ、スイート渡辺シェフも演奏に加わったスペシャルセッションに。

【3日目】

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朝6時に集合。前の日に仕込んだベルリーナ ラントブロートの生地をチェック。

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最初に出来上がったのは、「政次郎のパン」大島シェフが手掛けた大量のフレンチトースト。

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パンの焼き具合をチェックする「トラン・ブルー」成瀬シェフと、それを取り囲む職人たち。

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クロワッサンとフランスパンの講師を担当した、「ヴァンダラスト」大村シェフ。窯入れしたパンを入念に確認。

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朝8時をまわるころには、焼きあがったパンが続々と試食スペースに並び始めました。

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大島シェフのレトロバゲットにオリーブやバター、チーズ、生ハムなどを挟んだカスクルート。

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6名の講師たちによる、バラエティに富んだパンがずらり。

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端までぎっしりと具が盛り付けられた、クロワッサンのオープンサンド。

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オーバーナイト製法で作った、「ベッカライ ブロートハイム」明石シェフのカンパーニュ。

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こまめにメモを取りながら、試食をする参加者たち。

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「スイート」松井シェフによる、カフェラテ講習。

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試食がひととおり落ち着いたら、各講師からのコメントでイベントの締め。「ベッカライ トーンガルテン」中川シェフが、講師を担当したグラハムブレッド、パン・オ・セーグルについて解説しました。

キャンプブレッド2019 インタビュー

10回目ということで、内容盛りだくさんで行われたキャンプブレッド2019。最後に、キャンプブレッドに参加していたパン職人たちへのインタビューをお届けしましょう。

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ヴァンダラスト
大村 田さん

キャンプブレッドには、2回目から計8回参加しています。イベントが長く続いていくなかで、最初は明石シェフや成瀬シェフがメインの講師を務めていましたが、今では若手がその役割を任されるようになってきました。上の世代への恩返しだと思って、シェフたちに教わってきたことを下の世代に伝えていきたいと思っています。このイベントの魅力は、フランクな雰囲気のなかで、縦と横のつながりを作れること。とくに、他店の職人との交流によって、自分の位置を客観的に知ることができます。これは、勉強がメインの講習会では得られない経験です。

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スイート縄手本店
松井宏太郎さん

私はフレンチやイタリアンで料理人としての修行を積んでから、パン作りを学ぶためにスイートに入りました。6年前から、料理担当としてキャンプブレッドに参加しています。このイベントがあることからも感じるのですが、パン業界はとても仲が良いですね。他店舗同士でこれだけ仲良くなれるのは、他の業界にはない魅力だと思います。また、このイベントを通じてたくさんのパン職人に会いますが、海外の技術を取り入れながら日本人のお客様の味覚に合う美味しさを追求する、その姿勢にいつも刺激を受けています。

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美味しいパンの研究工房 つむぎ
竹谷光司さん

以前、毎月開催で30年ほど続いた「ベーカリーフォーラム」という勉強会を主宰していました。そのフォーラムには、明石シェフ、成瀬シェフ、倉田シェフなども参加していたのですが、彼らが中心となって立ち上げたキャンプブレッドには注目していました。これまで3回、講師として参加してきましたが、私が感じているこのイベントの特徴は、フランクに全員が自分たちの問題と向き合い、解決を目指しているということ。また、世代交代ができていることも素晴らしいですね。

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政次郎のパン
大木美穂さん、齋藤優美さん

大木さん:アルバイトとして入りたてで、レジ打ちしか経験していなかったころ、このキャンプブレッドに参加して初めてパン生地を触らせてもらいました。ほかの講習会にも参加しているのですが、作業の一連を見られるのは、キャンプブレッドならではですね。

齋藤さん:6年前から毎回出ています。初回は何もわからずに終了してしまいましたが、今では、今回みたいにカスクルートやファンデュを作ったりすることができるようになって嬉しいです。知り合いも増えてきて、毎年、参加者のみなさんと再会できることを楽しみにしています。

見習いの若手職人から著名なベテラン職人までが一同に会する、キャンプブレッド。10回目という節目を迎え、「美味しいパンをお客様に届けたい」という思いを共有し、店舗の垣根を越えて、パン職人として誇りを再確認し合う場となりました。来年も開催される予定です。パン作りに情熱を燃やすすべてのパン職人の方々、ぜひこのイベントにご注目ください。