アートとロジック:人生100年を生き抜くツール

気になるものごとや時季に応じて読みたい本をゆるーく紹介するまつもとひろい読み。今回ご紹介するのは「0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる 学ぶ人と育てる人のための教科書」です。

アートとロジック:人生100年を生き抜くツール

人生100年時代に突入したいま、教育界が変化にさらされている。英語への関心の高まりはもちろんのこと、2020年には小学校でプログラミング学習の導入がはじまる。県内でもこれからの学びについて各地で勉強会が開かれるだけでなく、ドキュメンタリー映画「Most Likely to Succeed」が相次いで上映されるなど、関心が集まっている。

 

未来を生きるためには、これまでの学校教育で学べることだけでは不十分だといわれる。これまでの学校教育は、どちらかといえば知識を出来るだけ多く覚えることに重点が置かれてきた。しかし、テクノロジーの発達によって、情報は検索すればすぐわかり、保有する知識の広さ・深さともに人間よりもコンピューターの方が優れる場合も少なくない。また知識だけではなく、近い未来には一部の仕事もなくなるといわれている。
もちろん学校も、こうした未来を漫然と迎えようとしているわけではない。学校や教育の在り方も多様化し、全国各地で新しい試みを始まっている。しかし、多くの学校では従来のやり方が今後も維持されていくことだろう。宿題は多く、テストも多く、できるだけ知識を詰め込むという従来の方向性が変わらないまま、新しく覚えることが増えるだけでは、子どもたちのカバンはますます重くなり、先生たちの残業時間も長くなるばかりだ。
子どもを取り巻く教育を、根本的に考え直さなければならない時期に差し掛かっているのだ。

教育を根本から見直そうという変化はいま、世界中でたくさん起こっている。正直なところ、紹介されるたくさんの手法や教育用語が並ぶほど、何が一番重要な情報なのか混乱してしまう人も少なくないのではないだろうか。プログラミング教育やリベラルアーツ、STEAM教育なども、もとは現代をとりまく教育への課題意識から生まれた方法論だ。本書は、子どもとその親に向けて、今後起きうる教育の変化を予想し、わかりやすく説明してくれる。

著者の落合陽一さんは、新しい知識を柔軟に取り入れ、新たな価値を生み出す「新しい学び方」を見につけなくてはいけない、という。著者のいう「新しい学び方」とは一体なんなのだろうか。
本書では「アート」と「ロジック」という単語がたびたび登場する。アートもロジックも、これまでの学校教育の「科目」としては親しみがなく、主要5教科の考え方とは異なる。ロジックの代表的なものは「言語」だ。標準化した言葉を使って、誰もがわかるように表現する能力である。反対に、絵や映像など、言葉以外の手段で表現するのがアートだ。自らアイディアを生むためには、きちんと言語化して考える一方で、それ以外の直観的な手法も使って、多面的に物事をとらえることが必要な能力なのだという。
著者は、文系理系の説明にもアートとロジックを挙げている。人によって得意不得意な教科があるように、何かを学ぼうとするとき、文系的な考え方か、理系的な考え方かは人によって異なる。例えば、陶芸を見るとき、自分が文系だと思う人はアート(色使いや形)から、理系だと思う人はロジック(窯元の温度)から理解し、自分が苦手としている視点にも移動していくことを意識するとよい。もちろん、得意がまだ決まっていないなら、どちらの視点も行き来しながら学びつつ、自分の得意を見つけていくのが望ましい。

ツールや学校の話となると、ごく一般の家庭にとっては資金面やアクセスの理由から、行きたい学校の範囲が狭いという場合もある。しかし、本人や親の視点や心構えは、すぐにでも変えられる。都会ほど選択肢が多くないからと言って、好きなものが見つからないとも限らない。何より、これから先の時代は正解が誰にもわからない時代である。学びについて何が正しいかは、子どもと共に大人も考えながら実践していかねばならない。100年という長い人生、時間はたっぷりある。ゆっくり考えながら歩んでいきたい。

 

今回紹介した本

 

Most Likely to Succeedについて

記事で紹介しておりますMost Likely to Succeedですが、木曽と諏訪にて上映会があるようです。
ご興味ある方は是非ご参加ください。

木曽

日程:2019年10月22日火曜日 13:00〜15:00

場所:木曽町文化交流センター

詳しくは下記をご確認ください。

Most Likely To Succeed 自主上映会

 

諏訪

日程:2019年11月1日金曜日 18:00〜21:00

場所:富士見 森のオフィス

詳しくは下記URLをご確認ください。

Most Likely to Succeed上映会 ~子どもたちの可能性を広げるために、今いる場所でできること~