2人が「最高のチーム」になる―― ワーキングカップルの人生戦略

気になるものごとや時季に応じて読みたい本をゆるーく紹介するまつもとひろい読み。今回ご紹介するのは「2人が「最高のチーム」になる―― ワーキングカップルの人生戦略」です。現代日本における「働き方改革」のプロであるお2人の秘伝の生活術がたくさん詰まっている本をご紹介します。

2人が「最高のチーム」になる―― ワーキングカップルの人生戦略

ようやく長い冬が終わって、うららかな春が訪れると、誰にとっても気分は浮足立つ。その反面、新生活を始める社会人や学生にとっては、これまでとは変わってしまう生活スタイルに、不安を感じる人もいるのではないだろうか。

特に、子育てをしながら働いている、いわゆる「共働き家庭」は大変だ。職場も新年度を迎えて忙しい中、入園・入学する子どもの準備も同時進行。忙しい毎日の中で、家事分担がついつい一方に偏ってしまったり、資金計画について相談できていなかったり、先の不安も尽きない。

収入が少ない現代においては、両親ともに何らかの形で働いているという家庭が大半である。せっかくのパートナーだから、先の不安は解消して、より楽しく、おもしろい家庭を築けたらどんなに素晴らしいか!新年度の節目は、自分たちの生活を見直すよいチャンスでもある。これからの家庭について、話し合ってみてはどうだろうか。

とかく昨今の日本では、結婚や子育てに関するネガティブな情報が飛び交っているように思う。そういう私も新米主婦として、いつか子どもが欲しいと感じている。でも、働きながら子育てをしている友人たちの苦労を見ると、及び腰になってしまうのは否めない。やっと探した保育園へ子どもを送り迎えし、家族の健康に気づかった食事をつくり、日々の家事をこなしながら働いている。たまに会う友人の疲れた姿を見ると、子どもがいますぐ欲しい!という気持ちになれないのが、正直なところだ。

そんな現代における希望の光ともいえる本がこちら。

最高のチーム

2人が「最高のチーム」になる―― ワーキングカップルの人生戦略

著者は、株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役の小室淑恵さんと、病児保育を推進しているNPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さん。つまり二人とも、現代日本における「働き方改革」のプロである。この二人が、自分が実際に子育てをしながらフルタイムで働いて編み出した、秘伝の生活術が詰まっているのがこちらの本だ。

家族を養う貯金がないから彼氏が結婚に踏み切れないとか、子育てをしながら妻が働き続けることに夫が反対する、といったような考え方は世間絵でもいまだに根強い。「男が稼いで、女は家庭を守る」という価値観をこの本では「大黒柱ヘッドギア」と称して、二人が対等なパートナーとなるためにこの価値観を変えようと高らかに宣言している。小室さんはこれに加えて、「三歳児神話」(三歳までは母親の手元で育てたほうがよいという言説)にも疑問を投げかける。幼少期が子どもの成長にとって重要なのは間違いないが、関わるのは果たして母親だけでよいのだろうか。父親も育児に加わるほうが、子どもの成長に良い影響があるというデータもあり、また、子どもが一番かわいい時期に父親も接することができる。両親がともに仕事と育児をこなすという働き方については、意識面でも制度面でも、ここ20年で状況はかなり改善してきており、今後もより充実した生き方ができる社会になりつつあると、小室さんはいう。

子どもがいなくとも、家事分担は家庭内では重要な課題のひとつ。これを楽しんでやるにはどうすればよいのか?
小室さんはここに「ほめ」の技術を導入。家事の中で「これをやめて」というポイントを伝えるのに、怒ったりしかったりするのではなく、してほしいことをしたときにほめるのが効果大とのこと。ほめることを通じて、相手を尊重している気持ちを伝えることは、家庭内にいい循環をもたらしてくれる。

他にも、夫にも家事をもっとやってもらいたいとしたら、家事のうち1つの分野において、夫が裁量権をもつことにしてもよいかもしれない。「これ、やっておいてね」と言われて行う全体の見えない仕事では、やりがいを感じにくいので、家事もその分野において任せてしまうのだ。駒崎さんの場合は「食器洗い」を任された際、時間短縮を試みて15分までは短縮できたものの、それ以上のスピードアップを図るため、食器洗い乾燥機を導入したいと考えた。そこから妻に導入メリットや節約の見積もりを「プレゼン」。導入してから初めて使った時には、工場長なみの高揚感を覚えたそうだ。

本書では、家事分担の考え方やコツだけでなく、会社での時間の使い方や立ち回り方法も伝授されている。長時間働かなくても、飲み会にでなくても、仕事を円滑に回すことができると、職場も働きやすくなる。一人ひとりが社内の働き方伝道師=「フランシスコ・ザビエル」として活躍できるというわけだ。家庭内のコミュニケーションが円滑になるだけでなく、仕事の効率も上がる。そんな成長の機会を与えてくれる子育てはすばらしい!と、著者たちは太鼓判を押してくれる。

考え方から小ワザまで、とても読みやすくわかりやすく紹介されているので、子育てをしている人はもちろん、結婚を考えているカップルにも、家事のことで怒られている旦那さんにも(笑)気軽に手に取ってほしい。