松本の冬を、ちょっとあたためるお酒の話

気になるものごとや時季に応じて読みたい本をゆるーく紹介するまつもとひろい読み。記念すべき第一回は図書館の料理コーナーで出会った「ちびちび ごくごく お酒のはなし」です。

松本の冬を、ちょっとあたためるお酒の話

東京で仕事をしていたとき、
周りのお酒好きの先輩が勧めるので、紹興酒を買ってみた。
当時はビール、日本酒、ワインと順番に飲めるようになってきていた、
社会人1年目の秋。
試しに250mlぐらいの小瓶で、小さなおちょこでびくびくしながら飲んでみた。
正直、あんまりおいしくなかった。
本場の中華料理によくある独特の風味と、強いアルコールの感じがあんまり好きになれず、
たったの250mlしかないのに、小瓶は同じ高さのしょうゆたちと一緒に
しばらく調味料棚で眠ることになってしまった。

そんなとき、近所の図書館の料理本コーナーで
何気なく出会ったのがこの本。

お酒の話、とあるのに、冒頭から語られていくのは酒のつまみのお話。
焼き味噌、きのこのソテー、牡蠣のオイルマリネ…
当時の私には「なんかおしゃれ!」な料理のレシピが、写真とともに並んでいった。

その中にシメとして紹介されていたのが、「紹興酒たっぷりの煮麺」。
あの独特の香りのある紹興酒をそのままじゃなく、
やわらかく煮たそうめんのスープとして使っている。
しかも、上にはたっぷりの黒こしょうと、パクチーが乗せてある!(私は大のパクチー好きなのだ)
家には夏に食べきれなかったそうめんも余っている。
これならいけるかもしれない…と、
本を読みながら作ってみた。

うん、おいしい。
独特の風味はハーブを利かせたスープになり、
真冬の風がしみる都会の一人暮らしの夜には、うってつけのぽかぽか料理。
レシピが気に入ったので、その冬の間には紹興酒の小瓶はあっという間に空になった。

それから久しぶりに手に取って気づいたのだが、
冒頭のレシピを紹介した時点で勘のいい方はすでにお気づきかもしれないが、
この本を書いた伊藤まさこさんは当時、松本在住。
本の中では信州らしい味噌、りんごなどの食材のほか、
信州の地酒、松本のお店も紹介されている。

引っ越してきたばかりの私にとっては、
松本での暮らしを知るいいガイドブック。
この本を手にあたたかいお酒と食事を囲んで、松本での初めての冬を乗り切ろうと思う。

今回紹介した本

ちびちび ごくごく お酒のはなし

著者:伊藤 まさこ
発売日: 2014/3/5
文庫: 239ページ